トップメッセージ
2022年6月1日、当社は経済産業省が定めるDX認定制度に基づき、「DX認定事業者」としての認定を取得しました。DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応し、ビジョンの策定や戦略・体制の整備などD
X推進の準備が整っている企業を国が認定する制度です。
デジタル技術の活用が支えたこれまでの成長
当社は1994年の設立時より、独自のビジネスモデルを展開し、1998年には設立から当時史上2番目の速さで株式を上場し、2004年には日本で唯一のハイパーグロースカンパニー※となる等、大きな成長を遂げてきました。
※設立10年以内に売上高10億ドルを達成した成長企業を米国で称賛する言葉
この成長の大きな一因となったのは、積極的なデジタル技術の活用であったと考えています。例えば全国の店舗での中古車買取における査定(価格の算出)を本部で一括して実施するシステムや、「ドルフィネット」(買取った車両が全国の店舗で閲覧できる画像販売システム)は当時では全く新しい取り組みでした。
特に、1998年に運用を開始した「ドルフィネット」は、買取った中古車の詳細な情報を登録し全国の店舗で販売することで「買取った車を2週間で売切り、価格下落による在庫リスクを最小化する」というポリシーを変えることなく、卸売事業(買取後、オークションにて売却)よりも利益貢献度の高い小売事業(消費者への販売)を拡大させる基盤となりました。「ドルフィネット」は運用開始時には衛星通信を利用していましたが早期にインターネットでの展開に切り替える等、改良・改善を重ねて、現在も当社の事業の主軸となっています。
こういったITを活用した当社のビジネスは、先進的な取り組みとして評価されてきました。優れたIT活用事例を表彰する「IT Japan Award 2012」(日経コンピュータ主催)や、イノベーションや生産性向上に向けた取り組みを実施している企業を選出する「第2回(2008年)ハイ・サービス日本300選」(サービス産業生産性協議会主催)を受賞。2017年5月31日には経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「攻めのIT経営銘柄2017」にも選定されました。
中期経営計画の達成に向けて
当社には常に新しい技術を積極的に導入する風土が根付いており、今では世の中に広く普及した技術・サービスも先駆的に取り入れてきました。DXには事業の様々な場面で取り組んでいきますが、2022年4月に公表いたしました中期経営計画(2023-2027)の実現に向けて、以下のテーマを挙げてより一層DXを推進していきます。
「ビジネスとITが一体化したプロジェクトの推進」
当社ではビジネスとITを一体化してプロジェクトを検討する取り組みを推進しています。この事例には、オンラインで予約が完結する定額クルマ乗り放題サービスの「NOREL」、個人間の中古車売買を仲介するC to Cのプラットフォームである「ガリバーフリマ」等があります。
また、AI技術の活用についてはAI査定(査定のAI化)を導入しております。その他にも、全国のガリバー関連店舗の仕入れ担当者がリアルタイムで買取の入札を行い買取価格を決定するガリバーオークションの導入や、会社ホームページのEC化、OMO化も開始しています。
「生産性の向上と社内コミュニケーションの活性化」
生産性向上を目的とした新しい技術やサービスの導入も積極的に進めています。例えば、いち早くサーバーのクラウド化に取り組んだ結果、新規サービスの開始や海外展開がスムーズに行える基盤を構築することができました。社内のコミュニケーションの活性化・効率化を図るシステムも取り入れています。
「大型店・整備工場の展開におけるデジタル技術を用いたデータ活用」
当社の成長戦略の柱である「大型店・整備工場の展開」において、大型店来店者のSNSによる受付システムや、整備工場の整備システムに加え、ネットとリアル店舗のシームレスな融合などの集客改善、価格システムを用いて在庫管理を行う在庫戦略などをDXを活用して推進してまいります。
自動車業界は、自動運転・AI等の技術面の変革やシェアリングエコノミー等のユーザーのライフスタイルの変化とともに大きな転換期を迎えています。
この大きな転換期において当社がさらなる成長を遂げるための「成長戦略」を策定し、直近5か年の計画を中期経営計画として公表いたしました。
計画の実現に向け、DXを基盤とした買取事業の効率化や小売事業のさらなる拡大を進めていく戦略が必須であると考えており、今後も積極的に取り組んで参ります。
代表取締役社長 羽鳥由宇介
体制と人材
当社では、「既存店舗関連システムなどにおける従来の情シス領域」と「新規事業領域などにおけるビジネスとITが一体となって推進すべき領域」の2箇所にわけてデジタル人材を配置しています。
前者の既存店舗関連システムなどにおける従来の情シス領域については、IT専門部署(IDOM
Technology)にて担当し、既存システムの運営・維持・管理等の最適化をはかっております。大型店展開、整備工場展開、在庫戦略にともなうシステム構築もこちらで行っております。
後者の新規事業領域などにおけるビジネスとITが一体となって推進すべき領域については、マーケティングチームや事業部内にIT要員も配置し、事業とITが一体となって推進される組織体制を構築しています。ネット集客改善や新規事業についてはこちらで行っております。
DXにおいて重要な一角を担うデジタル人材については、事業計画のミッション・ゴールに対して内製すべき領域と外注する領域を定め、調達・採用・育成を行っています。
最新情報処理技術の環境整備
レガシーシステムの刷新については、各システムでの利用状況やコストの可視化を行い、利用部署と断捨離やリプレイスの協議を進めています。また、内製開発やAPI開発による疎結合化などにも取り組んでいます。
攻めのITについては、アジャイル開発なども積極的に取り入れながらスピーディーな開発をはかっております。さらに事業部人員向けのIT研修も行っており、DX推進にも取り組んでいます。
DXの最終目標と進捗管理
DXの最終目標は、お客様や社会に貢献することと考えております。
当社では、各事業部ごとに経営陣とKPI(重要業績評価指標)を設定しており、四半期ごとに代表取締役社長を含む経営陣が参加する会議にて事業部のKPIについて進捗を管理しております。
情報セキュリティ・リスクマネジメント
デジタル技術を積極的にビジネスに活用しDXを推進する一方、デジタル技術に関連するリスクの多様化にも対応しています。情報漏えいや不正アクセス等のリスクを網羅的に把握し、情報管理に関する各規程および情報セキュリティ規程等に基づいて最善の対策を図っています。また、IT統制の整備・運用、システム停止等に伴う事業継続計画についても全社的に取り組んでいます。